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論文

10.2.1 軽水炉の改良についての世界的なトレンド

日高 昭秀

原子力のいまと明日, p.264 - 265, 2019/03

最近の軽水炉の改良のトレンドとして、現時点における最新の原子炉である第3+世代炉(ABWR, APWR等)の先進的な安全対策について紹介した。第3+世代炉は、機器の信頼性や耐震性の向上、受動的安全設備の導入、シビアアクシデント(SA)対策、テロ対策の導入など、第2世代炉(既設のBWR, PWRの大部分)と比較して安全性が飛躍的に向上するとともに、SA時の周辺住民の避難を不要とする設計を目標としている。具体的なSA対策として、欧州加圧型炉(EPR)を例に、燃料が溶融し圧力容器が破損した場合でも溶融した燃料を受け止め冷却水等により冷却することで格納容器の破損を回避することを目的としたコアキャッチャー, 燃料が溶融した場合でも重力落下による注水を行い圧力容器を水没させることで圧力容器を冷却し圧力容器破損を回避することを目的とした原子炉容器内保持システム、及びECCSの信頼性を向上させるため、安全系の多重性を4系統に強化(設計基準事故用2系統, オンラインメンテナンス用1系統, SA用1系統)した設計例について説明した。

論文

Safety evaluation of self actuated shutdown system for Gen-IV SFR

斎藤 裕幸*; 山田 由美*; 大山 一弘*; 松永 尚子*; 山野 秀将; 久保 重信

Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (CD-ROM), 10 Pages, 2017/04

自己作動型炉停止機構(SASS)は、冷却温度の過剰な上昇に応じて原子炉停止系の制御棒を切り離すことができる受動装置である。制御棒の切り離しを引き起こす切り離し温度および応答時間は、有効性解析の重要なパラメータとして同定される。この研究では、応答時間と切り離し温度の検証および低出力SASSの成立性を確かめるために安全性解析に着目する。このため、設計変更がなされ、応答時間が短縮した。また、応答時間を確認するために低出力運転での3次元熱流動解析が行われた。その結果、切り離し温度レベルは、以前の研究と比べて低く、安全性パラメータの改善につながった。改善されたパラメータに基づき、低出力SASSの成立性を確かめるために安全性解析が行われた。この安全性評価から、LOF型ATWS事象が発生した場合、フローコレクタを設置することでSASSが炉心損傷を防ぐことが確認された。

論文

水張格納容器方式の冷却材喪失事故時の圧力挙動に関する基礎実験

楠 剛; 頼経 勉; 石田 紀久

日本原子力学会誌, 40(2), p.135 - 143, 1998/00

 被引用回数:1 パーセンタイル:15.03(Nuclear Science & Technology)

日本原子力研究所が設計研究を進めている改良舶用炉MRXは、小型一体型炉であり、冷却材喪失事故に対する工学的安全施設として受動的安全機能を有する水張格納方式を採用している。本格納容器方式では、冷却材喪失事故時に格納容器圧力が上昇して原子炉容器の圧力と等しくなることで、冷却材の流出を停止させる。水張格納容器の設計では、冷却材喪失事故時の圧力挙動を明らかにしておくことが重要であるが、本設計のように受動的な炉心冠水維持を図った格納容器に関する実験例はない。本報告書では、冷却材喪失事故時の水張格納容器内の熱流動現象を実験的に調べ、格納容器圧力上昇の程度及びそれへの影響因子を明らかにし、格納容器圧力上昇の簡便な予測モデルを検討した結果を述べる。

報告書

改良舶用炉MRXのLOCA時の格納容器圧力及び炉心冠水維持機能解析

楠 剛; 大久保 哲郎*; 頼経 勉; 安達 雅樹; 石田 紀久

JAERI-Tech 97-046, 56 Pages, 1997/09

JAERI-Tech-97-046.pdf:1.88MB

水張格納容器及び自然循環方式の崩壊熱除去設備による受動的安全設備を備えた改良舶用炉MRXについて、LOCA解析をRELAP5により行い、格納容器圧力が設計圧力を上回ることなく炉心冠水を維持することが可能な運転範囲を明らかにした。解析では、配管の破断位置、格納容器気相部初期体積等をパラメータとした。その結果、格納容器気相部初期体積は基準値30m$$^{3}$$を中心に26~36.5m$$^{3}$$の範囲内に制御する必要があることが示された。また、長期冷却については、RELAP5の計算に加え、簡易計算を行い、非常用崩壊熱除去系統及び非常用格納容器水冷却系統の性能が、炉心冠水維持と格納容器圧力抑制のために妥当なものであることを明らかにした。

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